長い夜の甘い罠【完】


「私、此処から帰れるから下ろしてくれて構わないわよ」

「何言ってやがる。家に送り届けてから仕事に行く」

「だけど、急ぎでしょう?」

「嫌、そうでもない」

「嘘ばっかり」


呼び出された時は夜中であろうとも、いつも急いで仕事に行くからきっと今も急ぎだと思う。

私を気遣ってるのね、きっと。

そんな優しさなんていらないのに。

優しくされたって何とも思わないのに。


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