長い夜の甘い罠【完】
「今日は金曜日ね。婚約者が迎えに来てくれる日じゃない?もたもたしてて良いの?」
仕事を終え更衣室での着替えの最中、同僚が声を掛けて来た。
私の仕事はアパレル会社本社の受付嬢で、今日は定時きっかりに上がれた。
彼が駐車場で待っている事は知っているけれど、敢えて直ぐには駆け付けない。
「ええ、大丈夫よ」
「全く、呑気なんだから。あんなカッコイイ彼が待ってくれてるなら私なら迷わず駆け付けるのにな」
カッコイイ彼。確かに、彼はカッコイイと思うわ。見た目わね。