長い夜の甘い罠【完】


…ダメなんだわ私。

…向こうへ行ったら家族と会えるのかしら。

家族に会いたい。

もう一度笑顔が見たい。

三途の川が本当に存在するのなら…たった一瞬で良い。家族に会わせて欲しい…。


「…痛っ……っ…」

「ククッ、どうやらこのナイフは切れ味が良いらしい。先を当てただけでパックリいっちゃってるぜ」


首に伝わる鋭い痛みと共に、温い血が鎖骨目掛けツーっと垂れる。

この男…異常ね…。


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