長い夜の甘い罠【完】
拉致した男は顔中血塗れになり、そのままぐったりと倒れ込んでいる。
暫くして男は立ち上がれば、伸びて気絶した男を背にこっちへと向かって歩む。
「…悪い、お前の事忘れていた」
男は私の間近で倒れているもう一人の男の項に刺さったナイフを抜き取り私の手首の縄を切る。
「…打たれたんじゃないの?」
「あぁ、打たれた」
男は小さく笑むと、胸元に穴の空いたスーツを指差してからスーツのシャツを軽くはだけさせると、防弾着が視界に映し出された。