長い夜の甘い罠【完】
貴方の顔もみたくないくらいに、本当は大嫌い。
皆にはカッコイイ婚約者がいて羨ましがられるけれど、そんな風に思った事は一度もない。
今夜、彼が迎えに来たのも世間体と欲望を満たす為。決して仲良い訳でも溺愛されている訳でもない。
「飯はどうする?」
「私は何でも良いわ。出前、取れば良いんじゃない?」
「少しは作ろうとか思わないのか」
「思わないわね、全く」
今は作らないわ。手料理を披露するのはまだ先の話しよ。