長い夜の甘い罠【完】
「それじゃあお疲れ様」
同僚より先に更衣室から出ると彼の待つ駐車場へと向かう。
金曜日、決まって彼が迎えに来る理由は一つ。週末は彼の部屋で過ごす為と良い婚約者でいる為。
良い婚約者と言えど、平日は何をしているのかあまり知らない。殆ど連絡は取らないし、きっと他の女といるんじゃないかな。
私にはどうでも良い事だけど。
「待たせてご免なさい」
「謝罪するくらいなら早く来い」
「それが出来たらとっくにしてるわ」
「相変わらず減らず口な女だな」
「放っておいて」
私は貴方の事が大嫌いだもの。減らず口なのは仕方ないわ。