長い夜の甘い罠【完】
時計を見ると、いつの間にか24時になっていた。
男の車で家へ送って貰い、車から降りようとした矢先、腕を掴まれ引き寄せられ抱き締められた。
「今日は有難うな。素直に嬉しかった」
「…いいえ、どう致しまして」
「また…来てくれるか?」
「ええ、勿論」
「それは楽しみだ。また明日から頑張れるな」
「大袈裟だわ」
「本当の事を言ったまでだ」
男は私の存在を確かめる様に離すまいと強く抱き締める。
まるでその抱擁は好きと気持ちを伝えるかの様だった。