隣のぼーいふれんどサマ。
この人が、ともにぃ・・・。
ん?
渡瀬ってことは、まさか。
「まさか、あたしの」
「あぁ。ともにぃは俺の家族じゃない。お前の家族、結子さんと和真さんの血を分けあった兄妹だ・・・。」
お兄ちゃん━━━━
あたしの、お兄ちゃん・・・。
「痛っ・・・。」
またあの頭痛。脳にガンガン響いてくる声。
“・・・ぃ・・・ゃん・・・。智也お兄ちゃん!!”
笑顔で男に駆け寄る少女、それはあたしとお兄ちゃん。
小さなあたしを抱きかかえ微笑むお兄ちゃん。
「どうした?カズ。」
あたしをカズと呼ぶのは、俊哉じゃない。
今、頭の中であたしに微笑みかけるお兄ちゃんだ。
お兄ちゃんも、あたしを“カズ”って呼んでたの?
知らないよ。覚えてないよ。
夢の男は、お兄ちゃんはいつも微笑んでいた。
その微笑みはいつも・・・少女、あたしに向けられていた。
あたしはきっとお兄ちゃんに大切にされていたんだ。
なのに、何であたしは何も覚えていないの?