隣のぼーいふれんどサマ。


この人が、ともにぃ・・・。


ん?


渡瀬ってことは、まさか。


「まさか、あたしの」


「あぁ。ともにぃは俺の家族じゃない。お前の家族、結子さんと和真さんの血を分けあった兄妹だ・・・。」


お兄ちゃん━━━━


あたしの、お兄ちゃん・・・。


「痛っ・・・。」


またあの頭痛。脳にガンガン響いてくる声。


“・・・ぃ・・・ゃん・・・。智也お兄ちゃん!!”


笑顔で男に駆け寄る少女、それはあたしとお兄ちゃん。


小さなあたしを抱きかかえ微笑むお兄ちゃん。


「どうした?カズ。」


あたしをカズと呼ぶのは、俊哉じゃない。


今、頭の中であたしに微笑みかけるお兄ちゃんだ。


お兄ちゃんも、あたしを“カズ”って呼んでたの?


知らないよ。覚えてないよ。


夢の男は、お兄ちゃんはいつも微笑んでいた。


その微笑みはいつも・・・少女、あたしに向けられていた。


あたしはきっとお兄ちゃんに大切にされていたんだ。


なのに、何であたしは何も覚えていないの?

< 181 / 205 >

この作品をシェア

pagetop