隣のぼーいふれんどサマ。


「ともにぃは12歳も年が離れているせいか、俺とカズにすごく優しかった。私立の高校・・・今俺たちが通っている大ノ宮高校に通って、剣道で大学にも行って、卒業してからはちゃんと会社勤めしてた。忙しかったはずなのに、それを全く見せなかった。本当に優しい人だったんだ。」


とても切なそうに話す俊哉。


あたしは小さい頃から俊哉とよく遊んでいた。


だから俊哉にとっても、お兄ちゃんだったんだ。


「口癖は“大丈夫”。ともにぃはいつも、どんなときでも大丈夫、大丈夫って言ってた・・・。ともにぃの大丈夫を聞くと、何故か不思議と大丈夫って思える。そんな人だったんだ。」


大丈夫・・・。


だからあたしはよく“大丈夫”って言ってたのかもしれない。


この言葉は魔法の言葉、あたしを勇気づけてくれる言葉。


それはお兄ちゃんの言葉だったんだね。


「いつも仕事で忙しかった結子さんや和真さんの代わりに、親をやってた。俺もよく晩ご飯をご馳走になったよ。俺の親も忙しかったからな。それにたくさん遊んでもらった。」


本当に優しい人だったんだね。


「ともにぃも昼間はちゃんと会社に行ってた。・・・そこで、恵梨香さんに出逢ったんだ。」


恵梨香さん。


そうだ。


お兄ちゃんは、恵梨香さんの彼氏だったんだ。


きっと、特別お似合いのカップルだったんだろうね。


そんな2人をあたしが・・・


「恵梨香さんはともにぃの1歳年下で、同じ会社に勤めてた。社内恋愛ってヤツだな。それでまさか俺達の親戚同士が、付き合って結婚するなんて母さんも驚いてたよ・・・。」


次第に俊哉の声が涙声に変わる。


何でかな。あたしも泣きそうなの。

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