隣のぼーいふれんどサマ。



「泣くなよ。」


俊哉があたしの涙を拭う。


その手が優しくて、思い切って訊いてみようと思えた。


「・・・俊哉。昨日本当はどこにいたの?」


「あ゛?」


「あたし知ってるの。昨日の9時に電話したのあたしだから。」


俊哉は一瞬目を丸くして、あたしを見つめた。


あたしは続ける。


「ケータイにかけたはずなのに、出たのは甘い声の女の子だった。その子言ったの。“俊くんは今、シャワールームにいます”って・・・。」


「カズ。」


「シャワールームって・・・。もちろんすぐにわかったよ、その後の展開。だって高校生の男子が女の子と二人っきりで、今シャワールームって・・・。笑っちゃうよね。」


「聞けよ、カズ。」


俊哉はあたしの肩を掴んで揺らした。


聞きたくないよ、言い訳なんて。


「そしたらちょうど“俊くん”が出てきて、電話代わって。そして言ったよね?“どちら様ですか?”って。・・・あたし、その瞬間に意識途切れた。だって、ケータイってディスプレイに名前出るもんね。・・・ちゃんと登録してれば。」


要するに、俊哉があたしの電話番号を登録していない、そのことを知ってしまったあたしはどうしようもできなくなったんだ。
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