初恋シグナル~再会は恋の合図~
「……じゃあもう寝るわ」
「え」
「風邪引くなよ」
最後にそう言って、ポン、と私の頭を軽く撫でた辻村くんは、私に背を向け歩き出した。
「……っ」
ドクンドクン、と心臓がどうしようもなく高鳴っていた。
不意打ちで優しくするの、やめてほしい……!
ドキドキが止まらなくなるから。
「ココア、ありがと……っ!!」
遠ざかる背中に慌てて声をかける。
「冷めないうちに飲めよー」
いちど、軽く振り返ってそう返してくれた辻村くん。
胸の前で、もらったホットココアを両手でキュッと握り締めた。
じんわりと掌から伝わる温かさは、徐々に私の体温と溶け合っていく。
辻村くんが、好き。
その気持ちが、熱になって身体にも、心にも沁みてくるような気がした。
「……私も戻ろ」
気付けば消灯時間まで10分を切っている。
ドキドキと鳴りやまない鼓動を抑えつけて、私は自分の部屋に向けて歩き出したのだった。