突然現れた王子
「それからは?」
「なんとか落ち着いたけど……まだ意識戻ってない」
あたしは泣きそうになるのを必死に耐えながら言った。
やっぱり母親の顔は見れなくて。
今どんな表情をしているのか、分からなかった。
「………そう」
少し不安そうに、母親は呟いた。
あたしは食パンを半分以上残して、席を立った。
「アユっ、もういいのっ?」
「………食欲ない」
ケイタのことを考えると、食欲なんて出てこない。
あたしはカバンを持つと、家を出た。