突然現れた王子


けれど、まさかドキドキしてるから、
なんて言えるわけないし。


あたしは適当にごまかした。

ケイタは納得のいかない顔をしたけれど。


タイミング良く注文した料理がきて、
あたしはそれに手を伸ばした。


無言で食べ続けるあたしたち。

いつもだったら笑いが耐えないのに。

本当にどうかしてるな、あたし。


自分でも呆れるほどに、緊張しちゃってる。

お箸を握る手が、妙に汗ばんでる。


あたしってば、意識しすぎだよ。




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