夢の欠片
ベキ バコン ガン バキ


何かが打ち付けられているような、それでいて壊れていくような、異様な音がしていた。明らかに人工的な音ではあったが、普通に過ごす日々の中で聞く音とは遥かにかけ離れていた。


ドカン ガシャン バキバキ


その音は次第に激しさを増し、どうすればそのような音が出るのか理解できないまでに強烈な音に変わっていった。


その音が空間を支配してから何分か経った時、突然その音は止まった。そして、新たな音がした。


ガチャ キィィィィ


その音がしてから、しばらく沈黙が続いていた。その沈黙を破ったのは、誰かの声だった。


「何なんだよ……これ……」


その震えた声は、幼い少年のようだったが、誰が発したものかは分からなかった。その後に誰かは思い出せないが、聞き覚えのある声が聞こえた。


「お前、俺の言うこと聞かなかっただろう。だからお前の大切な物をたくさん壊してあげたんだ」


そして、また知らない少年の声が聞こえ、恐ろしい会話が始まった。


「な、俺はお前の奴隷じゃないんだぞ! 遊びに行くのなんか俺の自由だろう? 遊びに行くなってなんなんだよ!」


「俺の言うことを聞かないからこうなるんだよ。そもそも言葉遣いが気に食わねえ。『俺』とか『お前』とかなんなんだよ。偉そうに。また壊してもいいのか?」


「や、やめろ!」


「こ・と・ば・づ・か・い、は?」


「…お願いします! やめてください……」


「条件は?」


「……条件?」


「許されるために条件が必要なのは当たり前だろう。そうだな……何発殴られるからとか、何発蹴られるからとか、そういうやつだ」


「何だよそれ!」


「そうか。じゃあ今度はお前が頑張ってたあのゲーム、リセットしちゃおっかなー」


「わあああ!! 十発殴られるからやめてください!」


「足りねえなぁぁ!」


「ひゃく…百発殴られるからやめてください……」


「よし」


聞き覚えのある声をもつ彼のその台詞で会話が終わった直後、悲鳴、泣き叫ぶ声が何度も何度も聞こえた。聞きたくないという気持ちとは裏腹に、勝手に耳に入るこの状況に嫌気が差していた時、視界は大きな光に包まれ、長い長い呪縛からようやく解放された。
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