夢の欠片
ザッ ザッ ザッ ザッ


川沿いの砂利道を歩く音がなぜか懐かしく感じる。前にも通ったことはあるはずだけど、いちいち懐かしく思うなんて話はあまり聞いたことがない。なぜだかは分からないけど、どうでもいっかと軽く疑問を投げ捨てた。


あともう少しだ。もう少しで……


『それにしても風が強いなー』


時折強い風が俺に当たって清々しい。風ってこんなに気持ち良かったかなと思えるほど、爽快感がある。


ザッ ザッ ザッ ザッ


あと何分か経てば俺は……


ファン ファン ファン ファン


そう思っていると、警察のサイレン音が聞こえてきた。自分の立場上、少しやべえなと思って俺は軽く走ることにした。


しばらくそうしていると、俺に気づかなかったのか、元々捜してないのかよく分からないが、サイレン音は小さくなっていったので、俺はホッと胸を撫で下ろした。


『よっしゃ、行くか!』


俺は気合を入れて、歩みを再開させた。
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