金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜
「……三枝さん、どうする?」
「もう、いいです……許すことは一生ないですけど、少しは私の気持ち……わかってもらえたみたいなので……」
それを聞いた恩田先生は私の頭をそっとなで、未だ頭を下げたたままの岡澤に近づき、かたわらにひざまずいた。
「僕は同じ教師として、あなたを許すことはできません。でも……あなたが今後どうするのかは、自分自身で決断するべきだと思います」
「恩田……先生……」
涙を浮かべた岡澤が、恩田先生を見る。
先生は静かにうなずき、立ち上がって私の元まで来ると言った。
「――――帰ろう、三枝さん」