金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜

「元気……な、わけ、ないよ……っ」



ずっと言えなかったわがままが……

今まで我慢していたものが、溢れ出してしまう。


でも、先生を困らせたいわけじゃないの。


ただ、甘えたいだけなの……


久しぶりに声が聴けたことが嬉しくて、甘えたいだけなの……



『ごめん……たくさん、泣かせましたね』


「うっ……っく、謝らなくっていいから……早く……早く……っ」



もう二年近く待つことができたのに……

ゴールが見えてきた途端に私……息切れしたみたい。



先生が、足りないよ。


先生が居ないと私……だめなんだよ……



「早く……帰って、きて……っ」



嗚咽交じりに伝えた言葉は、この二年の間に心の奥に押し込めて、鍵をかけていた言葉。


ずっと言いたかったけど、言えなくて。


途方もない寂しさだけを、募らせていた。


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