金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜

『……あと二週間、待てますか?』


「に……しゅう、かん……?」


『10月1日の昼に羽田に着く飛行機に乗ります。やっと……千秋に逢えます』


「本当、に……?」


『嘘を言ってどうするんですか。僕もそれ以上待てません……寂しくて限界なのは、僕だって同じなんですよ』


「せんせ……」



私は手の甲でごしごしと涙を拭った。


うれしい……うれしいよ……


本当に本当に……先生が帰ってくるんだ……


先生の居ない日常が、あと二週間で終わるんだ……



「私……っ、空港まで迎えに……!」


『……ありがとう。でも、千秋はその日大学があるんじゃないですか?』



――――そうだ。

その日から後期の授業が始まる……


しかも初日は新しい選択授業の説明とか、教科書販売があるから休むなって……


でも……


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