甘い秘密を召し上がれ


「う…やっぱ…ムリか…」


今日、使うセルクル型を棚の上から
取り出そうと
伸ばしていた手を下げようとした時
後ろから、長い手が伸びてきた


「どれですか?」


「え?」

振り返れば…
いつもはギリギリの時間に
スタジオに入る桜井くんがいた


「あ、助かるー
そのビニールに入ってるセルクル…」


カンタンに棚から取り出し
見上げてる私に渡してくれた


「はい、先生どうぞ
今日、フレジェでしたよね?」


「ありがと…えぇそうよ」


「楽しみだなー」


桜井くんは
材料が置いてある
作業台を見ながら頬を緩めた


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