濡れた唇【TABOO】
足してみて、引いてみて、掛けてみて、割ってみて、何かの答えが見つけ出せるのかな?
どうして、先生から目が離せないんだろう?
「キスが怖いのか?」
ううん、と首を振った。
だって、先生のゆっくりと近寄ってくる唇を私は怖いと思っていない。
「キスのレッスンが先だな。目ぐらい閉じろよ」
「だって……間近で見ると、先生かっこいいね」
「いいから、閉じろ」
瞳を閉ざすと直ぐに暖かくて柔らかい唇が触れた。
触れるだけじゃなくて、角度を変えてしっかりと結びついてくる。
後頭部を押さえつけられて、何度も何度も熱い口づけを交わす。
キスなんて半端なものじゃない。これは本物の大人味の口づけ。
「怖かった?」
先生の余裕な声を聞いて、瞳をゆっくりと開く。
目の前には、キスで濡れた唇。
「いえ……それに、答え……わかりました」
濡れた唇
THE END
2013 2 18
