濡れた唇【TABOO】

「いち?」 

 先生の手が止まる。


「だめだ、それじゃ簡単すぎる。違う数にしよう。じゃあ付き合ってきた男の数は」

「一人」


 カツンと音がしてチョークが折れて床に落ちた。


「告白されてなんとなく付き合ってみたけど、キスされそうになって怖くて逃げました」


 先生は、ゆっくりと屈んで床に落ちたチョークを拾い集めると、チョーク入れに戻す。



「それって本気で好きなのか?」

「わかりません。先生、教えてください」




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