「すき」だらけ
「そうだったのか。いや渡されて驚いた顔してるからさ。
聞くのが専門だったら読めるわけないよな」
「そ、そうそう」
「よし、じゃあ日曜日俺の行きつけの寺に連れてってやるよ」
「よ、よかったな未彩」
颯太がそろりと去ろうとする。
こいつはめたなあ。
寺?お経?冗談じゃない。
ただでさえ嫌いなのに。
なんであたしがそんなものに付き合わなきゃいけないの。
じょうだんじゃない。
颯太をにらみつけるとすまんって手を合わせてる。
辻宮は目をキラキラ輝かせてるし。