「すき」だらけ
辻宮の後を追ってついてきた先は屋上。並んで座ると辻宮はそう言った。



誰も気づかなかったのに。
なんであんたは気付いちゃうの?




もう嫌だ。辻宮、嫌いだよ。



あたしはすべてがもうぐちゃぐちゃで泣いた。



わかんないよ。胸が痛い。

あたしの掌に重ねられた辻宮の掌。


いつもなら彼氏に触れられることも嫌ですぐ退けるのに嫌じゃなかった。

むしろ温かくてさっきまでの気持ちが消えて行くみたいな気がした。
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