カゼヒキサン。
ピー

「ん。」

先生に体温計を渡す。

「風邪ね。」

ん?

「やっぱり。」

え?


海斗と先生が、話してる。

そんなかで、ボーっとしてるあたし。色んな意味で。


「若野さん。お家の方、家にいる?」

「えっとー、仕事ですー。」


「んじゃ、センセ。俺、送ってくわ。」

そういうと、ガッとあたしの腕を掴む海斗。

「あ、待って。滝川先生(ルーズな担任)に早退表書くから。」

そう言って、スラスラとペンをすべらす。

その紙を海斗に渡す。つか、海斗が受け取る。


「見せろー。」

「あ。」

早退表をとりあげる。

へー…

『クラス・名前』『早退理由』『(熱有りの場合)温度』『症状』


はじめてみた…。

こんなになってんだ。


「はい、没収ー!」

「えーっ」

早退表をとりあげられたあたし。


くすくす、と先生の笑い声が聞こえる。


その笑い声を背に、あたし達は保健室を出た。
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