キスから魔法がとけるまで


「根暗で結構!インドア派で何が悪い!友達くらい私だっているわ!」

「ちょっと、あんた飲み過ぎ……」

飲み屋のテーブルに並べられたジョッキの数を横目に、親友の知念梨花(チネンリカ)が呆れた様子で自分のグラスに口をつける。

彼氏いない歴=年齢の私を、家族以上に知り尽くす、最早佐伯まどか(私)のエキスパートだ。
とは言っても、梨花は私とは正反対。
オシャレだし、髪も染めて男受けもイイ。
彼女を連れていて、イイ顔をしない男はまずいないだろう。


「確かにその生真面目な性格は、まどかのイイところでもあるけどさ、全面に出過ぎて寧ろマイナス効果。今くらいは我慢したら?あんた面接落ちたの何度目?」

「……もうすぐ50達成です……」

「でしょ?あんたの彼氏いない歴軽々越えてるからね。面接突破しちゃえばいいだけなんだからさ、取り敢えずその暑苦しい眼鏡だけは何とかしなさいよ?」

ここぞとばかりに毒矢を放つ親友。
悔しいけど、何も言い返せない。




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