INそしてOUT

「食べましょう」
呼びもしないのに、佳奈は勝手に料理を作りケーキをテーブルの真ん中に置く。

涼子の事で頭がいっぱいで
佳奈を怒鳴る元気もない。

俺はゴミでも見るように、ふと佳奈を見た。

佳奈は照れたように、頬に手を当てながら微笑んだ。


そして

俺は目を見張る。

佳奈の指には
涼子に送ったオニキスの指輪が輝いていた。

似ている。

いや!あれは店の1点物で他にはない。

間違えるはずはない。涼子の白く細い綺麗な指に俺がはめたのだから。

「お前」
真っ青になる俺の顔色とは逆に、佳奈の頬はさらに赤くなる。

「あ……これは私の物でしょう。ありがとう」
静かな声が部屋に響いた。
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