INそしてOUT
「自首して下さい」

姉が僕を見つめる。

「僕もこの本を読みました。きっと姉は主人公に自分を重ねていたのではないでしょうか。だから、あなたの書いたお話を自費出版までして、手元に置いて大切にしていたのではないでしょうか」

流れる血を押さえもせず

「どんな形であれ、姉はあなたと一緒に居たいのです」

表情もなく

「ずっと傍に居たいのです」

ただ姉は
僕を見つめる。

「姉を成仏させたいんです。あなただって嫌でしょう。殺した女が血を流してずっと傍にいるのは」

僕だって辛いよ
こんな姉さんを見るのは。

「罪を認めてくれたら、きっと姉の姿も消えると思います。ねっ」

姉に向かってそう言うと、姉はうなずく

そう

間違いなく
首を縦に振り、寂しそうに笑い

男もそれを確認した。
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