竜家の優雅で憂鬱な婚約者たち
「ねえ、これは何が入ってるの?」
「開けてみたら?」
花沙がニヤリと笑う。
「えー……なにか、変なものが入ってるんじゃないでしょうね……」
「んなわけないだろ」
恐る恐る、それを開けると――
なんとそこには無数のボタンが入っていたのだ。
「わ……」
思わず感嘆の声を漏らすエリ。
ガラス、真鍮、陶器、金、銀、色とりどりのボタンは、色も形もすべて違う。
「ねえ、これ、なんで出来てるの?」
特に美しいと思ったボタンを、つまみあげて花沙を振り返った。
「ヴェジタブル・アイボリー」
「ヴエッ……?」
「ヤシの実だよ」
「へえ……象牙かと思った」
乳白色で固いボタンは、どこからどう見ても象牙にしか見えない。
「使い続けていれば、乳白色から飴色へと変わる」
「使い続ける? ボタンを?」