竜家の優雅で憂鬱な婚約者たち

「ねえ、これは何が入ってるの?」

「開けてみたら?」



花沙がニヤリと笑う。



「えー……なにか、変なものが入ってるんじゃないでしょうね……」

「んなわけないだろ」



恐る恐る、それを開けると――

なんとそこには無数のボタンが入っていたのだ。



「わ……」



思わず感嘆の声を漏らすエリ。

ガラス、真鍮、陶器、金、銀、色とりどりのボタンは、色も形もすべて違う。



「ねえ、これ、なんで出来てるの?」



特に美しいと思ったボタンを、つまみあげて花沙を振り返った。



「ヴェジタブル・アイボリー」

「ヴエッ……?」

「ヤシの実だよ」

「へえ……象牙かと思った」



乳白色で固いボタンは、どこからどう見ても象牙にしか見えない。



「使い続けていれば、乳白色から飴色へと変わる」

「使い続ける? ボタンを?」





< 110 / 120 >

この作品をシェア

pagetop