竜家の優雅で憂鬱な婚約者たち

ボタンというのは半永久的に洋服の上にくっついているもので、それ単独で使うとか、そういうものじゃないと思うんだけど。



「ボタンはアクセサリーだよ」



花沙はそう言い、真鍮製らしいボタンを指先でつまみあげて、のぞき穴を覗き込むようにようにボタンを見つめた。


ボタンがアクセサリー……?

だから、使い続けるってこと?

宝石みたいに?


けれどどうも納得できないエリは、首を傾げて花沙に問いかけた。



「まぁ、確かにこれみたいにオシャレなのもあるとは思うけど、それって特別でしょ? 普通にスーツとしての機能っていうか、実用性があるからじゃないの?」

「馬鹿。機能だっていうんなら、いちいちボタンホールにボタンを通して留めるなんて面倒なことしなくても、全部ジッパーでいいだろ」



呆れたように花沙は唇の端を持ち上げ、それから皮肉っぽく笑った。


スーツの前がジッパーだったら――

確かに想像するとものすごく違和感がある。



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