竜家の優雅で憂鬱な婚約者たち
けれど母の『恋愛問題』が、エリの日常を脅かそうとしている。
どうする気なのか聞いてみようと思った矢先に、思ってもみなかった形で相手の男を目のあたりにして、どう切り出していいものか余計わからなくなった。
「どうしたもんかなぁ……」
エリは母好みの少し甘めの卵焼きを焼きながら、ため息をつく。
「エリ」
「うひゃっ!?」
慌てて振り返ると、背後に母が立っていた。
「おはよう。どうしたの、慌てちゃって……」
「お、おはよう。どうもしないよ、ちょっと考え事していたから、驚いただけ」
エリはテキパキと卵を畳み、まな板の上に乗せ切り分けお皿の上に並べる。
(おかずは冷めてからお弁当箱に詰めるのだけど、余ったのはそのままエリのお昼ご飯になる。)
「そう? あ、今朝はしいたけのお味噌汁なのね。いい匂い」