竜家の優雅で憂鬱な婚約者たち
小鍋の蓋をあけて、すんすん、と鼻を鳴らす母の横顔を見ながら、パジャマ姿でもやっぱり美しい人は美しいのだな、と思う。
憧れの155センチ……。
というか、やはり女性はこのくらいの背の高さが可愛い。
高すぎず、低すぎず、やせぎすでもなく、女らしいまろやかな体つき。
間違っても、過去のエリのように、身長が原因でフラれることはないだろう。
「――ねえ、エリ」
「ん?」
「あのね……」
エリは焼いたしゃけを魚焼きグリルから取り出しながら、隣に立ってお味噌汁を凝視している母にちらりと視線を向ける。
「今晩、大事な話があるの」
「えっ!?」
「だから、帰ってきたら話しましょう」
「――う、うん……」
こっくりとうなずくと同時に、母はホッとしたように微笑み「顔を洗ってくるね」とキッチンを出て行く。