竜家の優雅で憂鬱な婚約者たち
それから二人でお茶を飲んだ後、ショッピングを続け、本当にごく普通のデートっぽいことをした。
荷物を部屋の前まで持ってきてくれた花沙にエリは頭を下げた。
「今日はありがとう」
「俺、悪くないだろ? 誰か選ばなくちゃいけないのなら、俺にしとこうって気になったんじゃないの?」
いたずらっぽく花沙が笑い、ドアの横に手をつく。
少し長めの前髪から、好奇心いっぱいの猫のような瞳がのぞく。
わざとだとわかっているのだが、近づかれると普通にドキッとするし、意識せずとも顔が赤くなるのが自分でもわかる。
「なっ、ならないわよっ……!」
本当は、結婚がどうのというのは置いておいて、普通に花沙っていい子だななんて思ってしまったのだが、それを悟られるのは歯がゆい。
ドアノブに手をかけると、
「でも、冗談抜きで上二人より俺のほうがマシだと思うね」
と、そのまま後頭部をポンポンされた。