ラララ吉祥寺


「ふみこ……、ふみこ、さん」


何度か揺り起こされた気がしたけれど、その都度スルーして。

何度目かの呼ぶ声に気づいてみると、わたしは木島さんに抱き上げられていた。

「えっ? あ……、木島さん?」


見開いた目が、そのまま木島さんに見つめられる恰好になっていて。

わたしはまさかのお姫様抱っこに、恥ずかしくてジタバタしてしまう。


「文子さん起きないんで、二階に運ぼうと思って。

さすがにここで寝たらまだ寒いでしょ。

目が覚めたなら、もう少し話しますか?」


立てますか? と、その場で足から下ろされた。

足元がふら付くほど飲んだわけでもないのに、まるで自分の身体じゃないみたい。

足が床に着くも、力が入らずよろけてしまった。


「おっと……」


再びわたしは木島さんに抱きとめられてしまった。

「大胆ですね。僕は嬉しいけど」

「えっと、あの……、足に力が入らなくって」

すみません、小さく謝ると、僕の方こそ、と返された。

「僕には女性の寝込みを襲う趣味はありませんが、さっきは目のやり場に困ってしまって……」

「えっ? あ……」

気がついた時は後の祭りだった。
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