ラララ吉祥寺
何処か思いつめたように真剣な表情の彼と目があった。
やっぱりこの部屋じゃ狭いよね。
「文子さん。誠に申し上げ難いのですが……」
言葉を濁す彼。
「もし可能であれば、僕にこの部屋を貸しては頂けないでしょうか?」
「え?」
それはある意味予期していたような、していなかったような。
「いや、女性二人でお住まいのところ無粋だとは重々承知の上でお願いします。
勿論、同居に関する取り決めは厳守しますし、家事の分担があれば相応に担います。
これでも一人暮らし暦長いので、家事全般は支障ないです。
その他、力仕事に雑用、僕にできることならなんでもします。
どうか、ここに住まわせて下さい!」
こんな家に住める機会がそうあるとは思えないんで、と彼は大きく頭を垂れた。
ここまで低姿勢に頼まれて、断ることなどできなかった。