ラララ吉祥寺


軽々と、丸めた布団を肩に担いで歩く木島龍之介。


そんな彼の横を、何日か振りに家に戻ってきた左膳が通り過ぎた。

「サゼン」

わたしの呼びかけに彼は『ミャァ』とひと鳴きして、短い尻尾を木島龍之介の足に微かに擦りつけた。

どうやら、彼は左膳に気に入られたようだ。

一匹狼で風来坊。

勝手気ままに生きる彼は、誰に媚びることもない孤高の猫なのだ。

彼が自ら人に近寄るなんて、珍しい。



芽衣さんといい、彼木島龍之介といい、人付き合いの薄いわたしがこうも簡単に他人を受け入れたことに驚いていた。

母の死が、わたしの中に他人の入る余地を空けたのかもしれない。

それが良いことか、悪いことなのか。

この先の未来までは、わたしにだって予想はできないけれど。


そうだ、芽衣さんに連絡しなければ。

わたしは急ぎ、同居人が確定した旨を彼女にメールした。


『木島龍之介37歳独身古物商店主同居確定』


彼女の反応が楽しみだった。
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