ラララ吉祥寺

「流行物とは違うものね。

アパレルはもう大量消費の世界だから。

売れる物を作らなきゃ立ち行かないもの」

「僕だって、ファッションに興味が無い訳じゃありませんよ。

良い物はいいと感じますし。自分に似合うなら、着てもみたいと思います。

でもその優先順位が低いだけで」

「木島さんとこは古布とかは扱わないんですか?」

仕事柄、古布には興味があります、と芽衣さん。

「あぁ申し訳ない、僕、古布は詳しくなくて。

着物や古布の買取りは専門の業者を紹介するか、一山いくらで買い叩いて、後でこちらで業者に売りに出したりしてますね。

龍古堂で一番力を入れてるは古道具なんで。

所謂骨董ではなくて、原則、今でも現役で使えるもの。

火鉢とか煙管とか、ランプ、時代箪笥、足踏みミシンなんてのもありますよ……」

三人で囲む食卓は話も弾み、食も進み、とても楽しいひと時となった。

まぁ、わたしは専ら聞き役なのだけれど。
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