ラララ吉祥寺

「そろそろ、メインにしましょうか。

木島さん、パン少し切って頂けますか?」

厚めがいいですか、薄めがいいですか、と聞いてくる木島さんに、シチューなので厚めでお願いしますと答えた。

JR高架下のつるかめらんどで買ってきた牛筋肉を半日かけて赤ワインでゆっくりと煮込んだシチュー。

使ってるのは、一本400円程度のチリワインなので、材料費的にはチープなのだけれど。

お味の方は、かなり本格的だという自負がある。

野菜屑もミキサーで潰してスープに混ぜ、トロミも絶妙だ。

ブラウンソースのバターの漕げた匂いが食欲をそそる。

「うわっ、なんか凄く美味しそうですね。手間かかったでしょう?」

よそったスープ皿を見て、木島さんが感嘆の声をあげた。

「へへっ、料理は趣味なんで」

こんな風に褒められると、手間の掛け甲斐もあるというものだ。

わたしは肉と野菜をバランス良くよそい、最後に仕上げの生クリームを回しかけた。

湯気の立ち上る艶やかなブラウンソースに生クリームの白が映える。
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