ラララ吉祥寺
「報われない恋、でしたっけ」
わたしの言葉に、ハッと顔を上げた芽衣さんの瞳が、愁いを帯びて彷徨った。
「芽衣さん……」
「うっ……、ふみこ、さん……」
わたしの差し出した手に縋るように、彼女は突然泣き出した。
止め処なく流れる涙。声にならない悲しみ。その姿は、まるで昔の自分を見るようで、わたしは心痛んだ。
「大丈夫ですよ。わたしも、木島さんもいますから。わたし達は芽衣さんの味方ですから」
「うっ……、わたし……、産んでもいいんでしょうか……」
「芽衣さんの赤ちゃん、可愛いでしょうね。
あ、わたし思いつきで、軽い気持ちで言ってるんじゃありませんよ。
わたしも昔、大好きな人の子供を身ごもったことがあって。
産もうと決めたけど、産めなくて。
だから、少しは芽衣さんの気持ちがわかるから、力になりたいっていうか……」
「文子さん……」
「後悔はして欲しくない。それだけです」
後悔なんてしまくりですよ、と、わたしを見て芽衣さんは力なく笑った。