ラララ吉祥寺
「木島さんは……、なんにもわかってないです。
女にとって、子供を授かる、子供を産むっていうことが、どれだけ大きなことか……」
わたしは何に対して怒っているのか。
誰の気持ちを代弁しているのか。
それさえわからなくなるほど、わたしの心は乱されていた。
「文子さん!」
わたしは居たたまれなくなって、居間を飛び出し二階の自室へと駆け上がった。
小次郎が驚いて毛を逆立てたのが見えたけど、わたしにはそれにかまう余裕は無かった。
木島さんは多分、わたしの短絡的な思考に異議を挟んだだけなのだ。
よく考えれば、未婚の母になるということはそう簡単に決められることでは無い。
そもそも、芽衣さんの事情もわからず、わたしの願いを押し付けるなんて。
独りよがりも甚だしい。