魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−





「お。そうだった。これ、お礼だ。」





それを渡すために追い掛けて来てくれたらしい村上先生。凛の手には色取り取りの飴玉が入った袋が乗る。それを咄嗟に受け取ってしまった凛はあたふた。





「こ、困ります!私はただ…」

「ただの善意で手伝ってくれたなら俺のお礼もただの善意だ。」





ニカッと笑う村上先生に凛は差し出した飴玉の袋を、おずおずと引く。そして申し訳無さそうに俯く凛の頭にポンッと手を置かれる。





「つっても安っぽいモンだ。コンビニで買った飴だしな。そう深く考えなくていい。」

「は、はい。」

「あ、それ渡したこと誰にも言うんじゃないぞ?せがんでくる奴等が多いからな!手伝ってくれた凛は特別だ。」





きっとせがまれても面倒見のいい村上先生なら上げるだろうな、と凛は思った。皆もフレンドリーな村上先生だから気兼ねなく言える。やはり良い先生だと再確認した。
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