魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
そう言った村上先生に凛は必死でコクコク頷いた。内緒事は守ります!と。貰った飴玉の袋をいそいそと鞄にしまう。しかし大事そうに鞄に入れる姿は、可愛く微笑ましい。
思わず笑みが零れた村上先生は再度凛の頭を撫でると踵を返す。
「じゃあ気を付けて帰れよ。」
「はい。先生も頑張って下さい。」
まだきっと仕事が残ってるだろうと察して凛は言う。バレたか、と笑った村上先生は来た道を戻って行った。鞄を持ち直し、凛もまた『帰ろうっと。』と思った。