それでも、愛していいですか。
「まさか、かなり本気なの?」
その顔があまりにも真剣だったので、もうはぐらかせないと思った。
「……はい」
それを聞いた君島は「そうなのかぁ……」と呟き、大きなため息をついた。
そして、はっと目を見開いた君島はさらに顔を近づけて、
「まさか、告白して失恋したとか!?」
と大きな声で言うので、つられて「違います!」と大声で答えてしまった。
「……先生」
「ん?」
「駄目かな」
「なにが?」
「阿久津先生のこと、諦めなくちゃ駄目かな」
それを聞いた君島は、「愚問だね」と言った。
「諦められるのなら、やめときなよ。何の事情もなさそうな平和な男と付き合うのがいい」
君島はソルティドッグを一口飲んだ。
そして、くくっと笑い、
「それができないから、苦しいんでしょ」
と優しい笑みを浮かべた。
「ここにいる連中だって、同じだよ」
君島は狭い店内を見渡し。
そして、さらりと言った。