それでも、愛していいですか。
阿久津は思わず目をそらせてしまった。
あまりに幸せそうな自分の笑顔を、受け入れることができなかったのだ。
「お姉ちゃんが学生の時に書いてたみたいね。他のページも涼介さんがいっぱい描いてあった」
美咲のその言葉はあまり頭に入ってこなかった。
忘れていた、押しこめていた感情が次から次へと湧きあがり、自分でも抑えきれず動揺してしまった。
そして、少し息苦しくなった。
すると突然、美咲は阿久津の頬を両手で包み、背伸びして自分の唇を阿久津の唇に重ねた。
阿久津はただ呆然としていて、受け入れることも拒否することもしなかった。
「私、もう一度、この顔が見たい」
美咲は阿久津の袖を掴み。
「私がそばにいるから。支えてあげるから」
目を潤ませながら阿久津の左胸にそっと手をのせ、
「一緒に前を向こう」
と切ない声で囁いた。