それでも、愛していいですか。
二人並んで、夜道を歩く。
コートのポケットに手を突っ込んで隣りを歩いている雅哉をちらりと見上げた。
きれいな顔……。
ふと見とれてしまい、慌てて視線を落とした。
北風が吹き抜ける。
奈緒は手を擦り合わせ、手のひらに息を吹きかけた。
「寒い?大丈夫?」
「大丈夫大丈夫」
奈緒はとっさに笑顔を作り、Pコートのポケットに手を入れた。
「奈緒ちゃんは、本当はどんな子なんだろな」
雅哉は前を向いたまま、ぽつり呟いた。
「え?」
「強がりな奈緒ちゃんもかわいいけど、素直な奈緒ちゃんも見てみたいな」
そう言うと、雅哉は奈緒の手を取り、ぎゅっと握ってポケットのコートにしまった。
「こうすれば、温かい」
にっこり笑う雅哉に、奈緒の胸が少し熱くなった。
そして同時に、あの雨の夜、ずぶ濡れの阿久津に手を握られたことを思い出した。
阿久津の手の感触が蘇る。