それでも、愛していいですか。

「いつもの感じでさ。『私に近寄るなオーラ』が出てたのよ」

「なるほどね……」

阿久津の周りに漂っている凍った空気は、すぐに想像できた。

「でも、苺のミルフィーユ食べてたんだよね?」

「そう。なんか、わけのわかんない人だよね」

加奈はそう言ってから、

「あ、ごめん。そんなふうに言って」

と謝るので、

「別に加菜が謝る必要ないじゃない」

と言って、笑った。

「それより、加菜はどうなの?最近」

「あたし?」

矛先が自分になると、さっきまで軽快に話していた加菜の口調が少し重くなった。

「よくわからないんだよねぇ」

加菜は視線を落とした。

「ん?」

「孝太郎くん。メールもするしね、この前も二人でご飯食べに行ったんだけど……」

「だけど?」

加菜は首を傾げている。

< 44 / 303 >

この作品をシェア

pagetop