それでも、愛していいですか。
「いつもの感じでさ。『私に近寄るなオーラ』が出てたのよ」
「なるほどね……」
阿久津の周りに漂っている凍った空気は、すぐに想像できた。
「でも、苺のミルフィーユ食べてたんだよね?」
「そう。なんか、わけのわかんない人だよね」
加奈はそう言ってから、
「あ、ごめん。そんなふうに言って」
と謝るので、
「別に加菜が謝る必要ないじゃない」
と言って、笑った。
「それより、加菜はどうなの?最近」
「あたし?」
矛先が自分になると、さっきまで軽快に話していた加菜の口調が少し重くなった。
「よくわからないんだよねぇ」
加菜は視線を落とした。
「ん?」
「孝太郎くん。メールもするしね、この前も二人でご飯食べに行ったんだけど……」
「だけど?」
加菜は首を傾げている。