それでも、愛していいですか。
つまめるものを露店でいくつか買って、川辺りの階段に腰掛けた。
花火が始まると、みんな空を仰いだ。
大きな花火が上がると、「わぁ」と歓声が上がって拍手が起こる。
奈緒も最初はただ「きれいだな」と思いながら眺めていたが、ふと「なんて儚いんだろう」と感じると、ドンと響く花火の音が胸に響いてきて、少し切なくなった。
そして花火が終わってしまうと、まるで夢から覚めたような気分になった。
「きれいだったね」
「ね」
「花火大会って、終わった直後に「来年も来よう」って思っちゃうよね」
「わかるわかる。けっこう人ごみで大変なんだけど、見終わるとそう思うよね」
加菜は何度もうなずいていた。
バス停までのんびり歩く。
慣れない下駄でずいぶん足が疲れていた。
ようやくバス停に着き、バスの到着を二人で待っていた時。
奈緒たちの列の少し前に浴衣姿の美咲を見つけた。