それでも、愛していいですか。


つまめるものを露店でいくつか買って、川辺りの階段に腰掛けた。

花火が始まると、みんな空を仰いだ。

大きな花火が上がると、「わぁ」と歓声が上がって拍手が起こる。

奈緒も最初はただ「きれいだな」と思いながら眺めていたが、ふと「なんて儚いんだろう」と感じると、ドンと響く花火の音が胸に響いてきて、少し切なくなった。

そして花火が終わってしまうと、まるで夢から覚めたような気分になった。

「きれいだったね」

「ね」

「花火大会って、終わった直後に「来年も来よう」って思っちゃうよね」

「わかるわかる。けっこう人ごみで大変なんだけど、見終わるとそう思うよね」

加菜は何度もうなずいていた。

バス停までのんびり歩く。

慣れない下駄でずいぶん足が疲れていた。

ようやくバス停に着き、バスの到着を二人で待っていた時。

奈緒たちの列の少し前に浴衣姿の美咲を見つけた。

< 87 / 303 >

この作品をシェア

pagetop