イジワル王子の溺愛
遅い春の片思い -翼side-
「……ねぇ、翼くん」
先輩と会うのはいつも人気のない空き教室だった
「なに?」
「あたしのこと、好き?」
甘い目をして俺の体に手を置くのは先輩の癖か
面倒くさいと思った
学校中に付き合っている噂が広まってるとしても、隣を歩く自分を想像したくない
「……言う必要がある?」
「聞かなきゃ、不安になるでしょ」
「じゃあ勝手に不安がってれば」
彼女になった途端、独占力が強くなってわがままになる
女なんて面倒くさい
どれだけ付き合ってもたどり着く答えは同じだった
結局こいつも、俺の顔と家柄しか見てない
俺を中身から理解してくれるやつなんていないんだ