色彩恋愛
「ごめんなさい!」
「…チッ。」

舌打ちが耳元で聞こえた。
ちゃんと謝ったのに。
なんなの、コイツ。
少し腹がたって誰なのか見てやる、と思い顔を少しあげて見た。
そこにいた人物に見覚えはまったくなかった。
見た目は世間一般的にはカッコイイといわれそう。でも、偉そうでナルシストみたいな感じな奴。

誰、この人。

きっと今の私の目はそんな感じだろう。

一瞬足が止まった私の目に、開いた扉のむこう側で寝ている君の姿が写った。

(急がなきゃ。)

私は一つの落とし物に気付かずに、もう一度「ごめんなさい。」と謝っといて、外の世界に続く扉をくぐった。

そこには、青空の下で寝ている君がいた。

私の頬は赤く染まる。

恋は赤い。
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