色彩恋愛
「えっ?俺のこと探してたの?」
「うん!でも、特に用事があったわけじゃないんだけどねー。」

そう言いながら、綾も隣で寝転んだ。

(用事もないのに、俺のことを探すなんて変わった子だな。)

と、思った。
春のそよ風は、まだ少し冷たいけど気持ち良かった。
5時間目のチャイムが、学校に鳴り響く。

「5時間目、始まったよー。」
「…うん。」
「綾は、行かないの?」
「翔太こそ行かないの?」

答えなくたって、綾も俺と同じことを考えてるんだって分かった。
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