嘘、鬼よ。













しばらくすると、ぞくぞくと人がやって来る。

その顔は、何となくやつれてて、拷問されてた私がするべき辛い顔をそいつらがしていた。



そんな私はと言うと、自分でも信じられないくらい落ち着いていて、的確に状況が把握できてると思う。





こういうとき、自分の性格がこんなんでよかったと思える。

その辺の女の子なんかよりも可愛げはないけど、冷静に…いや、冷徹に判断できる。



そこが、私の長所で短所。







「…………」


「…………」



それとなんだ、この気まずい雰囲気は。





「…お前、女だったのか?」


「言っていなかったか?」



土方が今更なことを言ってくる。

どうせ私は出るとこ出てないがな。


「言ってなかったよ!!!」




「藤堂、うるさい。
言わなかったらなんだと言うんだ?
私の疑いは晴れるのか?」




男女差別も甚だしい。

いや、幕末なら当然か…?


「……いや…、その。」




なんなんだよ。たくっ、ぐずる餓鬼じゃないんだから。


「別にもういい。
それより、私の処遇はどうなる?」





「…………」

「…………」


なんだよ


「…その事なんですけど。」


沖田が気まずそうに口を開いた。



「そのことに対して再度志摩に尋問をしたところ、捕まったことによる腹いせに嘘をついたのだと吐きたました。」





尋問じゃなくて、拷問だろ……



「そう、じゃあ私の疑いは晴れたのだな。」

よかった。




「はい、すみませんでした。」



「そうだな、誤認でこんな拷問までされて散々だ。」


「すみません…」



口々に謝る彼等は、私よりも凹んでいるようにもみえる。




「正しい謝り方と言うのは"申し訳ございませんでした"と言うんだが…?」



「お前調子に乗るなよ!!」



「あーあー、誤認で拷問されてボロボロなのにまともに詫びもしないなんて、壬生浪士組はどうなってるんだろうかー
調子に乗るなよ、土方。」









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